体脂肪の知識をつけよう
体脂肪についてこのページで少し詳しく説明したいと思います。体脂肪に関連する知識は、具体的なダイエット方法を正しく理解するために、そして、どんなダイエットが間違っており、どんなダイエットが正しいのかある程度自分で判断できるようになるために必要なことです。
体脂肪だけを落とそう
結論から言ってしまうと、"体脂肪"は数日で何kgも落とすことはほぼ不可能です。体重管理は確かにダイエットでは必須ですが、体重が落ちても一概に痩せたとは言えませんよね。体重が落ちた分が水分や筋肉、骨などが分解されたことによるものであって、肝心な体脂肪があまり落ちていなければ意味がないどころが逆効果です。
リバウンドせずに効率良く体脂肪を落とすには、体脂肪以外は落とさないように気をつけないといけません。痩せるためだけでなく、健康や美容の面でもこれは非常に大事なことです。
しかし、体重を短期間で落とし過ぎた場合、体重が落ちただけで体脂肪は落ちていない(痩せていない)のに、更に太りやすい体質になってしまい、肌や髪も荒れるという恐ろしい結果を招きます。ダイエットに取り組む多くの人はこうなってしまっているのが現状です。
体脂肪1kg分のカロリーはすごい!
体脂肪は約20%が水分、残りの約80%が9kcalの脂肪なので1gあたり約7.2kcalです。1gで7.2kcalということは、体脂肪1kgで約7200kcalあります。
これがどれだけ凄いカロリーなのかピンとこない人が多いかもしれませんが、参考までに説明しておきましょう。
運動で7200kcalを消費する場合
個人差がありますが大体フルマラソン3回分(127kmくらい)で7500kcalほど消費できるそうです。普通の人が短期間で消費するのはまず無理ですね。しかも、追い討ちをかけるようですが、あくまで、7500kcalくらいの"カロリー"が消費できるというだけで、一生懸命フルマラソン3回分走ったからといって"体脂肪"が7500kcal分も落ちるわけではありません。
食事制限で7200kcalを消費する場合
次に食事制限の場合ですが、中程度(立ち仕事や営業、小さい子どものいる主婦)の生活を送っている20代の平均的な体格の人の1日の総消費カロリー目安は男性で約2500kcal弱、女性で約2000kcal弱程度だそうなので、これより7200kcal消費カロリーを多くするためには、絶食しても標準的な男性で3日弱、女性で3日半ほどかかるということになります。マラソンの場合と同様、3日絶食したからといって、1kg脂肪が落ちるわけでもありません。
体脂肪が1kg落ちる目安ではありません
これまでの説明は、あくまで「体脂肪1kgのカロリーである"7200kcal"というのがどんなもんなのか?」を説明する目安として紹介しただけで、体脂肪が落とせる目安を紹介したわけでは、残念ながらありません。
なぜ、運動や食事制限で7200kcal以上消費カロリーが多くなるようにコントロールしても1kg分落ちないかというと、不足した消費カロリーが全て体脂肪によって補われるわけではなく、筋肉なども分解して消費されるからです。しかも、極端なカロリーバランスでは体脂肪が消費(燃焼)されにくく、脂肪燃焼工場である筋肉の方が優先的に落とされていきます。
まとめると、短期間で体重を落としても、単に太りやすい体質を作ってしまうだけで、体脂肪はほとんど落ちていない、つまり実際は痩せてもいないのにリバウンドしやすい体質に変えてしまうということです。
短期間で減った体重の正体は体脂肪ではなく水分
数日の間にキロ単位で体重が減った時は、残念ながらほとんどが水分量の低下によるものです。食事にもかなりの水分が含まれるので飲み物だけ飲んでいても十分ではありません。
塩分が不足しても水分が留まりにくくなるので、食事量が極端に減って塩分と水分がが落ちた場合、ダブルの効果で体重が落ちます。この状態で水をガブ飲みすれば更に塩分を落とし、逆に脱水症状すら起こす可能性もあります。
また、運動の場合も多く汗をかき水分や塩分を失うので、気をつけてとらないとすぐに体重が落ちます。これが少し運動しただけで痩せた錯覚に陥りやすい理由です。「水分をしっかりとってるからそんなはずはない」と思う方も、さきほど説明したように、塩分が少ない状態で水分をとると更に水分が落ちるので、そうとも言い切れないという事がわかったと思います。
水分でも何kgも落とせば、実際体積が縮んでいるので少しは細く見えるかもしれません。しかし、水分が不足し、脱水症状を起こすと非常に危険です。また、乾いたスポンジのような状態なのでいつも通りの飲食を何度かとればすぐに戻ってしまいます。高いリスクを犯すほど痩せて見える効果はありません。水分を失うことで代謝が下がって、脂肪燃焼の妨げや、リバウンドの原因にもなります。
脱水症状による体重低下を防ごう
塩分が少ない状態で水分をとると更に水分が落ちる現象は、体液の浸透圧を一定に保つための生理現象なので、脱水症状での体重低下を防ぐためには、運動中は、あらかじめ浸透圧が適度に調整されているスポーツドリンクで水分摂取したり、食事を適度にとりましょう。脱水症状による体重低下では美容や健康を損ないますし、なによりダイエットの経過がわかりにくくなってしまいます。
水分の減少を防ごう
短期間で体重を落とすと、体脂肪ではなく水分が落ちてしまうと説明しましたが、水分は体内の全ての科学反応(代謝)の溶媒という非常に重要な役割を持っているので、特にダイエット中に不足しては困ります。余分な水分は老廃物などと一緒に体外に出すようになっており、水太りはほとんど気にする必要がないので、なるべく小まめに少しずつ水分をとってください。
過剰に塩分をとり過ぎなければ浮腫むということも起こりにくいですし、過剰な塩分を排出するためにも水を小まめに飲む事は効果的です。浮腫みは水そのものが原因というよりも、何らかの物質によって浸透圧が上がり、それを調節するために水分が一時的に集まったためです。この働きをスムーズにし、素早く流して浮腫みを解消するためにも、浮腫みの原因になった物質を排出するためにも、水分を十分にとることは効果的です。
ただし、あまりに大量の水分をとってしまうと、逆に水分が落ちてしまうので注意しましょう。
筋肉の減少を防ごう
筋肉は代謝の多くを占めるので、これを落としてしまうと体脂肪が落ちにくく太りやすい体質になります。筋肉を落としてしまうようなやり方ではまずダイエットの成功は難しいでしょう。しかも、この場合、体脂肪から得るはずの分を筋肉を分解して得たことになるので、筋肉が落ちてしまうダイエット法は、あまり痩せない上に太りやすい体質になるという二重苦です。
男性の場合も女性の場合も筋肉量が著しく低下してしまえばプロポーションの悪化、代謝低下によるリバウンドを免れません。筋肉により骨格を支えているので、骨格が歪んでしまい、姿勢が悪いだけでなく老化や病気、疲労の原因にもなります。
また、ダイエット中は筋肉が減少傾向にあり、たとえ筋トレを行ったとしても筋肉を増やすことは困難です。間違った食事管理や運動を行えば筋肉の減少を加速させてしまい、脂肪の減少をストップしてまうので、極端なダイエットは控えましょう。
ダイエットは一生続くものである
これまでの説明を考慮した結論をいいますと、『数日で"体重"を数kg落とす方法はいくつかあるが、数日で"体脂肪"を数kg落とすダイエット方法はない』ということです。
強いて言うなら、脂肪吸引がありますが、仮にリスクと大金をかけて脂肪吸引の手術を受けたところで、同じ食事などの生活習慣を続けていては同じように戻ってしまいます。
つまり、正しいダイエットを地道に、計画的に続けるという選択肢しかありません。 しかし、それが綺麗に痩せるための唯一の道であり、最短の道でもあります。
また、ダイエットには終わりがなく、生涯続きます。なぜなら、理想のプロポーションを手に入れても、維持するためにも食事管理などのダイエットが当然必要になってくるからです。なので、ダイエットを一生続けられるペース配分にする必要があります。
次のページから具体的なダイエット法について解説していますが、決して焦らず、しっかりと知識を蓄えましょう。焦れば焦るほど、間違ったダイエットをやってしまい、痩せることから遠のいてしまいます。
このページのまとめ
- リバウンドせずに痩せるためには体脂肪のみを落とすように心がける。
- 体脂肪は1kgで約7200kcalもあり、短期間で何キロも落とすことはできない。
- 短期間で体重が落ちた場合は、水分と塩分によるものであり、痩せたわけではないのにリバウンドをも引き起こす。
- 筋肉量と代謝、体のメリハリは比例し、水分は全ての代謝の溶媒となるのでどちらも減少しないように気をつける。
- 1度痩せても維持する必要があるのでダイエットは生涯続く。