3つの基礎代謝量計算ツール
3つの基礎代謝量計算ツールの紹介と、そもそも基礎代謝量とは何か?ということについて説明しています。
基礎代謝量とは?
基礎代謝量とは、生命維持活動のために1日で代謝するエネルギー量のことです。全く体を動かさなくても、生命を維持する為に、少なくとも基礎代謝量と同等の摂取カロリーが必要です。
もちろん、ダイエットの時も、この基礎代謝量分以上のカロリーは食事からとらなければなりません。もし、不足すれば、体は生命の危機を感じ、あらゆる体内の活動に制限をかけます。すると、消費カロリーが下がってしまうので、リバウンドの原因になります。
基礎代謝量は総消費カロリーの約70%とされています。なので、基礎代謝量を0.7で割ればおよその総消費カロリーを知ることができます。基礎代謝量が1500kcalなら1500÷0.7で2143kcalが総消費カロリーとなります。総消費カロリーより総摂取カロリーが上回ると体重が増えます。つまり、基礎代謝量を知れば、太らず、リバウンドの危険性も低い「1日の摂取カロリーの目安」も知ることができるというわけです。(運動や肉体労働をしている人なら必ずしも体重増加=肥満ではありません)
では、その肝心の基礎代謝量はどのように知ることができるのでしょうか?
残念ながら、リアルタイムの自分の基礎代謝を、手軽に、正確に知る方法はありません。ただ、せめて基礎代謝量の目安だけでも皆さんに知っていただくために、このページに3つの基礎代謝量計算ツールを紹介しておきます。
基礎代謝量計算ツール1 基礎代謝基準値と体重から計算
基礎代謝基準値とは
「基礎代謝基準値」は厚生労働省が公表している、体重1kgあたりの基礎代謝量のことです。基礎代謝基準値は、性別や、年齢によって数値が変化しており、ある程度の個人差を考慮したものとなっています。
年齢 | 基礎代謝基準値 (kcal/kg/日) |
基準体重 (kg) |
基準体重での基礎代謝量 (kcal/日) |
---|---|---|---|
15~17 | 27.0 | 58.4 | 1,580 |
18~29 | 24.0 | 63.0 | 1,510 |
30~49 | 22.3 | 68.5 | 1,530 |
50~69 | 21.5 | 65.0 | 1,400 |
年齢 | 基礎代謝基準値 (kcal/kg/日) |
基準体重 (kg) |
基準体重での基礎代謝量 (kcal/日) |
---|---|---|---|
15~17 | 25.3 | 50.6 | 1,280 |
18~29 | 22.1 | 50.6 | 1,120 |
30~49 | 21.7 | 53.0 | 1,150 |
50~69 | 20.7 | 53.6 | 1,110 |
上の表では基準体重を用いていますが、基礎代謝基準値に自分の体重(kg)をかけることで、自分の基礎代謝量の目安を知ることができます。
基礎代謝基準値を用いた計算式
基礎代謝量 = 基礎代謝基準値×体重(kg)
性別と年齢を選択し、体重を入力したら「計算する」をクリックしてください
基礎代謝量の比較
- 標準
- 1500kcal
- あなた
- 1500kcal
体重の比較
- 標準(年齢基準)
- 60kg
- あなた
- 60kg
このグラフの基礎代謝量の標準値は、あなたが入力した年齢の「基礎代謝基準値×基準体重」です。また、標準体重は年齢ごとの基準体重です。
基礎代謝基準値は標準的な体格のみに有効
基礎代謝基準値は、あくまで年齢、性別で区別しただけに過ぎないので、細かい個人差にはまだ対応し切れていません。身長が低いのに体重が重い人は、一部を除いて体脂肪率が高い傾向にありますが、そういったことは考慮されていないため、肥満の人は、この基礎代謝量の結果よりかなり少ない可能性もあります。
基礎代謝量は、年齢が上がるにつれて下がっていく傾向にあるということは考慮されているので、中年太りなどはある程度結果に反映されることになります。しかし、逆に肉体労働や運動をしており、年齢の割りに代謝が良い人は想定外となってしまう"副作用”もあります。
とにかくシンプルなので、前のページで紹介したBMIが標準に近く、尚且つ特別に筋肉質でもなく、隠れ肥満でもないという人にとっては、素早く気軽に計算できる、一番手軽な方法です。
基礎代謝量計算ツール2 ハリス・ベネディクト方程式
ハリス・ベネティクト方程式は医療機関などでも、患者の栄養所要量を決定するために基礎代謝量を推定する方法として使用されています。
ぱっと見てわかる、基礎代謝量計算ツール1の基礎代謝基準値を用いた方法との最大の違いは、「身長」が式に組み込まれているということです。
ハリス・ベネディクト方程式は18歳以上が対象となっています。
ハリス・ベネディクト方程式
男性の基礎代謝量=
66.47+(13.75×体重kg)+(5.0×身長cm)-(6.76×年齢)
女性の基礎代謝量=
655.1+(9.56×体重kg)+(1.85×身長cm)-(4.68×年齢)
最初の数が男性と女性で一桁違いますがミスではありません。
この方程式の結果に0.95を(95%)かけると日本人の体格にあった仕様の結果になります。下のツールでは日本人仕様の計算式で計算しています。
性別を選択し、体重、身長、年齢を入力したら「計算する」をクリックしてください。
基礎代謝量の比較
- 標準
- 1500kcal
- あなた
- 1500kcal
体重の比較
- 標準
- 60kg
- あなた
- 60kg
このグラフの基礎代謝量と体重の標準値は、あなたが入力した身長と年齢を基準にしています。
ハリス・ベネディクト方程式とBMIの類似点
前のページでBMIの欠点について説明しましたが、この計算方法にも似たような問題があります。
身長を計算式に組み込むことで、基礎代謝計算ツール1で使った「基礎代謝基準値と体重」による計算方法の弱点は克服しました。しかし、逆にBMIの欠点と同じように「筋肉で体重が重い人」「筋肉が少ないから体重は重くないが肥満の人」(筋肉を骨密度などに置き換えても同様)はどちらも想定外です。
また、1の式も同じですが、せっかく年齢による基礎代謝量の低下が考慮されていても、肉体労働や運動で、平均の中年層よりも代謝を維持している人たち、逆に平均以下の人たちも想定外となります。
基礎代謝量計算ツール3 除脂肪体重から計算
除脂肪体重から計算する方法は、スプリング・フィールド大学で健康科学を専攻し、主席で卒業した※クリス・アセート氏が著書で紹介していた計算方法です。
まず、目分量、もしくは"正確"な体脂肪を測れる施設で体脂肪率を確認します。その数字を20倍したら、あなたの基礎代謝量の目安となります。
大雑把ですが、除脂肪体重を基準にしているだけに意外と正確な数値に近いそうです。標準的な体脂肪率は下の表の通りとされています。目分量で確認する時は標準と自分の体脂肪を比較して予測してください。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
30歳未満 | 14~20% | 17~24% |
30歳以上 | 17~23% | 20~27% |
クリス・アセート(Chris Aceto):2011年6月現在で4度オリンピアに輝いたこともあるボディビルダー ジェイ・カトラーのコーチでもあります
除脂肪体重から基礎代謝量を計算する式
キログラム式:基礎代謝量 = 除脂肪体重(kg)×20
クリス・アセート氏は著書によっては下の式のような体重lb(ポンド)を10倍する方法を紹介しています。
ポンド式:基礎代謝量 = 除脂肪体重(lb)×10
個人的な予測ですが、おそらくキログラム式の方は、kgで体重を計測する習慣のある日本人向けに、ポンド式をカスタマイズした方法だと思われます。1kg=2.2046lbなので、ポンド式ですと1割ほど増えます。元々、「大雑把な目安を起点として作るため」の計測方法なので、気にするほどではないかもしれません。
しかし、元祖(?)の計算方法での結果を知りたい方もいると思いますので、下のツールでは、「□ポンド計算」にチェックを入れてから計算をクリックすればポンド式(体重をkgで入力→ポンド換算→10倍)で計算できるようにしておきました。
参考文献1「健康と体力づくりのための栄養学ハンドブック」
参考文献2「究極の筋肉を造るためのボディビルハンドブック」
性別を選択し、身長と除脂肪体重を入力したら「計算する」をクリックしてください。
※年齢、性別、身長の入力は、標準と比較するためのもので、「あなたの基礎代謝量」の計算結果には直接関係ありません。
基礎代謝量の比較
- 標準
- 1500kcal
- あなた
- 1500kcal
除脂肪体重の比較
- 標準(身長基準)
- 60kg
- あなた
- 60kg
このグラフの標準値は、あなたが入力した身長と年齢を基準にしています。
最も個人差が反映される方法だがやや数値が低い除脂肪体重式
性別、年齢が計算式に含まれていませんが、これらの差も主に男女間の筋肉量の差、年齢による筋肉量の衰えによるものなので、除脂肪体重を基準にすれば、性別と年齢を計算式に入れる必要はありません。むしろ、これらが入ってる時点で、性別や年齢ごとにある"傾向”を元にして計算することになるので、実際には筋肉質で基礎代謝量が多かろうが、その逆だろうが、全て、その数値上での平均の人として計算されてしまいます。しかし、除脂肪体重式の計算方法にはそういった問題点がありません。
ただ、この計算式で出した基礎代謝量は、他の計算方法で出した基礎代謝量に比べると低い数値が出ます。
結局どの計算方法が良いのか?
「人ってもんは大体こういうもんなんだ」ということを知るための計算方法としては、先に紹介した2つの方が優秀かもしれません。しかし、ここは筋トレやダイエットで肉体改造をする人、つまり体格の変化がある人や、標準から外れる人も含めて対象としたサイトなので、(多少、個人的な好みが入っているかもしれませんが、)この「除脂肪体重から計算する方法」を推奨します。
結局、どの計算式でも大雑把なものであることには代わりないです。【計算して出す基礎代謝量】は、あくまで、ダイエットなどを始める時に<自分の日々の摂取カロリーと体重の変化のデータ>がないので、その代わりに、大体の摂取カロリーを決めるための目安でしかありません。そこから、日ごろの食事管理、体重管理を徹底し、自分の基礎代謝量を把握して食事量や運動量を調整することが重要です。
体重計で基礎代謝量を計測しよう
ここで紹介した計算ツールと同じようにおよその数値ですが、最近の体重計でも基礎代謝量を計測できます。ただ乗るだけで毎日基礎代謝量が簡単に計測できるなら楽ですよね。しかし、欠点がないわけではありません。こちらの体脂肪計の使用方法にも目を通した上で活用しましょう。