ダイエットのための筋トレによくある間違い

内容的には前のページと同じく、筋トレであつかう負荷や回数に関するものですが、ここでは特にダイエットのための筋トレをしている方が目指す「代謝の高い太りにくい体質」や、「引き締まった体」を作る上で、ありがちな間違った方法について解説しておきます。

ダイエット目的の筋トレも20回以下しかできない負荷がよい

無理な重量はよくありませんが、太りにくい体質や引き締まった体型を作る上でも、負荷は低過ぎるよりは、ある程度高い方が良いです。

それでも低負荷で行いたい方は、せめて低負荷高回数の基準である「20回で限界になる負荷」までは上げて行いましょう。

これ以上軽い負荷では、たとえ筋トレの動作をしていても、筋トレの効果はえられにくくなります。

筋トレの種目の多くは、ターゲットの筋肉をしぼって行なうので、扱う負荷が極端に軽い場合、筋トレの効果がえられないばかりか、運動量やカロリー消費の少ない有酸素運動にしかなりません。

家事や鞄を持つなど普段の生活で使うときとほとんど変わらないような負荷で、限界まで行わずに中途半端な回数行って休憩の繰り返しでは効果は期待できません。

低負荷高回数は引き締めに効果的?

軽い負荷で鍛えた部分が引き締まるというのは誤解です。鍛えた部分の脂肪が燃焼するわけではないですし、鍛えた筋肉が細くなるということは間違った方法ならありますが、引き締めるには逆効果になってしまいます。

厳密には筋肉が発達し、筋腹と付着点とのメリハリが出来て引き締まって見せたり、摂取した栄養が体脂肪ではなく筋肉に届くようになり、全身の脂肪が燃焼されるのです。鍛えたところが部分的に燃焼するわけではありません。このためには筋肥大に効果的な負荷で行う必要があります。

筋肥大に効果的な負荷についてはこちらを参考にしてください→筋トレの効果がもっとも出る負荷と回数とは

引き締め効果を狙う人はあまりにも軽い負荷でやっている人が多いですが、これでは筋肉を鍛えているというより、ただ動かしているだけに近い状態です。

極端に軽い負荷では、ダイエット効果や引き締め効果はほぼないと思って良いしょう。

遅筋を鍛えて代謝アップ?

基礎代謝を上げるためには、低負荷高回数で遅筋を鍛える方が良いとよく誤解されることが多いのですが、これは遅筋に「脂肪酸を筋肉を動かすエネルギーにするミトコンドリア」が多く存在するためでしょう。「ミトコンドリアが遅筋に多くあるなら遅筋鍛えた方が脂肪燃焼される」と考えてしまうパターンが多いと思います。

しかし、消費カロリーの多くを占める基礎代謝は何もしてない時の代謝なので、何もしない時の体の維持でもカロリーを多く使い、発達もしやすい速筋を鍛えるのが正解です。

有酸素運動時の脂肪燃焼効果を狙って低負荷で遅筋を鍛えるという方法も少し疑問です。

まず、有酸素運動時の消費量を高めるより基礎代謝を高めておいた方が有効であるということと、脂肪燃焼効果を高めるにしても、遅筋の特徴もある程度含み、遅筋より発達しやすい速筋のⅡa繊維を鍛えた方が有効でしょう。

そもそも遅筋は速筋を鍛えることによっても発達することが確認されているそうですから、遅筋を鍛えることに代謝を上げる効果があったとしても、最初から速筋を鍛える負荷で行った方が両方発達できて効率的ということになります。

低負荷高回数で脂肪燃焼?

筋トレで直接脂肪燃焼する事を狙って低負荷高回数で遅筋を鍛えるという方法も効率が悪いと考えられます。

血中の糖でも脂肪酸でも余分になった分が体脂肪になるだけなので、炭水化物が不足し、脂肪ばかり食べ過ぎた時でなければあまり意味がありません。

いくら、脂肪を燃やしても食べたカロリーが余剰になれば体脂肪になってしまいます。

基本的には、糖を消費するか、脂肪を消費するかで分けて考えない方がよいでしょう。

余剰分のカロリーを脂肪でなく筋肉に送る効果、直接カロリーを多く消費してカロリーの余剰を作らないようにする効果、成長ホルモンを多く分泌して脂肪を燃焼する効果、そして筋肉をつけて消費カロリーをアップする効果、どの効果も遅筋より速筋を鍛える方が効果が高いです。

脂肪燃焼なら十分な負荷の筋トレか有酸素運動の方が効果的です。

消費カロリーを稼ぐなら、きちんとした有酸素運動や、十分な負荷での筋トレ(特に大筋群を鍛える多関節種目)を行った方が有効なので、結果的に脂肪燃焼にも向いています。

筋トレで増える代謝量は大したことない?

女性の場合は、「ごはん一杯分の基礎代謝を増やすだけでも何年もかかるので意味がない」という意見もありますが、筋トレを開始してから最初の1年は多くつきますし、正しく行えば筋肉の発達も速くなります。

そもそも、ごはん一杯分の基礎代謝量を軽視してはいけません。毎日のことですから、普段のカロリーバランスの平均値から、ご飯一杯分のカロリーが増えるか、減るかだけでも体型は著しく変わります。

体重をある程度キープしていた人がごはん一杯分くらいの200kcal増やせば、体脂肪(1kg7200kcalくらい)が1ヵ月と1週間くらいで約1kg増えてしまい、1年で10kgほど増えます。実際には余剰が全て体脂肪になるわけではないですが、筋トレをしてるわけでもなければ大半は体脂肪でしょう。

逆に正しい筋トレで筋肉を増やせば、ご飯一杯分の基礎代謝が増やせればこれだけ大量の脂肪がつくのを防ぐことも可能であり、条件によっては落とすことも可能です。

また、筋肉が増えたら基礎代謝が増えるだけでなく、運動や日常的な動作で体を動かした時の代謝量(カロリー消費)も比例して増えるという効果もあります。

ご飯一杯分のカロリーは1年で体脂肪10kg以上分のカロリーになります。

筋肉が増えれば基礎代謝が増えるだけでなく、運動や家事などの日常的な活動で消費されるカロリーも増えます。

しかも筋トレ自体でも多くのカロリーが消費され、さきほど言ったように運動での消費カロリーが増えていくので当然筋トレによるカロリー消費も増えていきます。更には脂肪燃焼効果(特にお腹)のある成長ホルモンも分泌します。また、元々が運動不足の方は、基礎代謝低下の傾向にあるので、筋肉が増える以前から基礎代謝の増加は始まると思います。

正しく筋トレを行えば基礎代謝以外の消費カロリーも全体的に増加します。

このように、正しい筋トレが習慣づいている人は様々なトレーニング効果により無駄な体脂肪が非常につきにくいのです。その上、単に体脂肪がつきにくいだけでなく、同じ体脂肪の量でも筋肉がある方が、姿勢が整い、体のシルエットにメリハリがつき、より引き締まったスタイルに見せることもできます。