筋トレの手順

ケガを防ぎ、筋肉を発達させる効果を高める正しい筋トレの手順を紹介しています。

ウォームアップとクールダウン

まず、筋トレを始める前にウォームアップを行いましょう。体温が上がり体がほぐれ、筋肉に血液が巡ることによって怪我を防ぎ、筋力も発揮できるベストな状態で筋トレを行うことが出来ます。

ウォームアップの内容は特にこだわる必要はないですが、(筋肉があまり疲労しない程度に)体を軽く動かし、少し汗ばむ程度に有酸素運動を行ってください。

筋トレの前に有酸素運動。

エアロバイクは関節に負担がかかりにくく、室内省スペースで行うことができるのでおすすめです。また、エアロバイクは第二の心臓ともいわれる大腿筋を使うので効果的な準備運動ができます。

一般的にストレッチと呼ばれている、ゆっくり筋肉を伸ばす体操を静的ストレッチと呼び、反対にラジオ体操のような反動を使って軽く体の一部や全体を動かすものを動的ストレッチといいます。

ウォームアップの後に動的ストレッチで軽く筋肉や関節をほぐしてください。ただし、筋トレの前には静的ストレッチはやりません(※次の項目参照)。

筋トレが一通り終わったら、クールダウンとして静的ストレッチを行います。筋トレの後の静的ストレッチは、力が入り緊張した筋肉をリラックスさせる働きがあり、しっかり筋肉を休養させることができます。

筋トレ前のストレッチの危険性

怪我を防ぐために、運動前に静的ストレッチを行うことが一般的となってしまっていますが、今では、運動前の静的ストレッチは怪我を防ぐどころか、一時的な筋力の低下の原因、また、それによるパフォーマンスの低下や、怪我の原因になることがわかっています。

筋肉や靭帯、腱など関節の大事な部分は冷えてほぐれていない時に無理に伸ばすと痛めてしまいます。静的ストレッチはトレーニング後のクールダウンに行うのが良いでしょう。

静的ストレッチは筋トレの後!

筋トレの前にストレッチを行ってしまうと筋力が低下してしまうということは、本番で扱う重量や回数が下がってしまい効率が悪くなってしまうともいえます。ウォーミングアップの後でも、筋トレ前には静的ストレッチはやらない方が無難でしょう。

伸ばすと縮もうとする筋肉の働き(伸張-短縮サイクル、SSCと呼びます)によって筋力や瞬発力を爆発的に発揮しますが、静的ストレッチはその筋肉の働きを鈍らせてしまいます。そのため、練習や試合前に静的ストレッチを行ってしまうと、スポーツでのパフォーマンスも低下します。

筋肉や腱はゴムと性質が似ており、ゴムが冷えた状態では伸縮性が弱くてちぎれやすく、伸ばしすぎると弱くなるのと同じようなものです。伸ばしすぎて弱ったゴムはちょっとした事で切れてしまうこともあり、近い性質である筋肉も筋トレ前のストレッチはおすすめできません。

本番前のアップセット

ウォームアップをしたら、次はアップセットを行います。

アップセットというのは急に高負荷を扱って怪我をしてしまうのを防いだり、軽負荷でフォームの確認をしたり、少しずつ筋肉を慣らして最大限に筋力を発揮するためのものです。MT車のギアチェンジのようなものだと思ってください。

具体的な方法としては、メイン(本番)セットの1セット目がMAXの80%(8回くらいが限界の負荷)で行うとしたら、50%×10回、60%×5回、70%×2回、75%×1回、そして、メインセット(MAXの80%)というようにやっていきます。
アップセットは限界回数まで行わず、筋肉に疲労が残らない程度に慣らすだけです。

例えば、ベンチプレスのMAX(最大筋力:一回だけ持ち上げられる重量)が50kgで、メインセットをMAXの80%で行うとしたら、

  1. 25kg(50%)×10回
  2. 30kg(60%)×5回
  3. 35(70%)×2回
  4. 37.5×1回(75%)
  5. メインセット40kg×8回(限界回数)

というように行います。

あくまで一例なので、全くこの通りにやる必要はありません。筋肉を十分に慣らした上でメインセットを行うようにすれば十分だと思います。自分にとってベストなアップセットを組んでみてください。

MAXの計測は難しく危険がともなうので、「効果的な負荷と回数」のページのRM換算表を参考にしてください。

アップセットは鍛える部分が1種目と同じであれば、2種目からはほとんど必要ない場合も多いです。必要に応じて行いましょう。

アップセットが必要な種目

種目や条件によってはアップセットの必要性が低いものもあります。基本的にアップセットが絶対必要なのは高負荷で大きい筋肉を鍛える多関節種目です。ただし、大きい筋肉でも同じ部位を鍛えるなら、2種目からはそれほど念入りにアップセットを行う必要はありません。下でも説明していますが、基本的には大きい筋肉から順番に鍛えるので、ほとんどの場合小さい筋肉の種目ではアップセットは省いても問題ないことが多いです。

大きい筋肉から先に鍛える

筋トレの最初の方が精神的にも体力的にも余裕があるため効果的に鍛えられます。

大きい筋肉から鍛えるのが効果的

なぜ、大きい筋肉のトレーニング効果を優先するかというと、体幹(胸や背中など、胴体の部分)や太ももなど大きな筋肉の方が、成長ホルモンなど筋肉を発達させるホルモンの分泌が多いので、全身の筋発達や、あらゆる筋トレの効果が大きいです。

逆にいえば、小さい筋肉ばかり鍛えても、鍛えてる部位すらなかなか発達しません。

なので、「大きい筋肉→小さい筋肉」という順番で鍛えます。

例えば、「体幹を全く鍛えずに腕ばかり鍛える」より、「腕の種目は全くやらなくても体幹を鍛えて腕は補助的に使うだけ」の方が、腕の発達が良かったりもします。なので、胸、背中、太ももなどの大きい筋肉を優先して、先に鍛えましょう。

もちろん、「大きい筋肉の種目は高重量を扱えるので体力の消耗が激しいが、小さい筋肉の種目は軽いのである程度疲れてても問題なくこなせる」というのも大きな理由の1つです。

体力や精神力、また、時間に余裕がない時は大きい筋肉の種目だけ行えば十分です。

また、大きい筋肉をターゲットとした主要な種目は、ある程度小さい筋肉などもついでに鍛えられるので、初心者のうちは大きい筋肉だけのメニューでも十分だと思います。体幹などに対して腕の発達がいまいちだと感じ始めたら腕の種目なども後からメニューに付け足していきましょう。

コンパウンド種目とアイソレート種目

コンパウンド種目というのは腕立て伏せやベンチプレスなど、関節を複数使う多関節種目のことで、アイソレート種目とはダンベルフライダンベルカールなどの単関節種目のことです。

さきほど、大きい筋肉から順番に鍛えるということを述べましたが、大きい筋肉を鍛える種目の中でもコンパウンド種目を先に行い、アイソレート種目を後で行うのが基本です。

なぜかというと、コンパウンド種目の方がアイソレート種目に比べ、扱える負荷が大きく筋発達などのあらゆる筋トレの効果が期待できるからです。

鍛える順番をまとめると、

  1. 大きい筋肉のコンパウンド種目
  2. 大きい筋肉のアイソレート種目
  3. 小さい筋肉のコンパウンド種目
  4. 小さい筋肉の アイソレート種目

というようになります。

筋トレの手順のまとめ

  • 筋トレの前には有酸素運動でウォーミングアップを行い、筋トレの後には静的ストレッチを行う。
  • 筋トレ前やウォーミングアップ前には、怪我や効果が下がるリスクがあるので、静的ストレッチを行わない。
  • 大きい筋肉から鍛える方が効果的である。
  • コンパウンド種目を行ってから、アイソレート種目を行う方が効果的である。

筋トレの前から後までの手順をすべてまとめると

  1. 有酸素運動でウォームアップ
  2. 動的ストレッチ
  3. 大きい筋肉のコンパウンド種目のアップセット
  4. 大きい筋肉のコンパウンド種目のメインセット
  5. 大きい筋肉のアイソレート種目
  6. 小さい筋肉のコンパウンド種目
  7. 小さい筋肉のアイソレート種目
  8. 静的ストレッチでクールダウン

その日のメニューによっては有酸素運動でウォームアップするほどの内容でなかったり、必要がない過程もあったりするので、筋トレをするときは毎回この手順通りすべて行なわなければならないというわけではありません。