筋肉の成長に必要な超回復と分割法

筋肉の成長に欠かせない超回復を起こすために必要なことや、筋肉別の回復時間に対応できる分割法などについて説明しています。

超回復には休息が必要

休息をとる女性

超回復とは、筋トレによって疲労した筋肉が回復し、更に発達することをいいます。

筋肉の血液中の代謝物質の濃度が上がることにより、成長ホルモンが分泌され、筋肉のダメージや疲労を回復し、筋肉が、次からそれ以上の強度に耐えられるように発達します。これが超回復です。

この超回復には、「適切な負荷や手順で行なう筋トレ」と「栄養補給」が必要ですが、その補給した栄養を吸収し、筋トレの疲労などを取り除き、回復、発達するための十分な休息も必要です。

適切な負荷についてはこちら → 筋トレの効果がもっとも出る負荷と回数とは

手順についてはこちら → 筋トレの手順

栄養補給についてはこちら → 筋トレと食事メニュー

休みなしに鍛えれば鍛えるほど筋肉がついていくというイメージは間違いです。

筋トレの最中に筋肉が腫れあがって大きくなりますが、発達しているのではなく、パンプアップ(代謝物質の濃度が上昇し、浸透圧により水分が集まり膨らむ)しているだけです。パンプアップさせることは筋肉の成長に有効ですが、パンプアップ自体は「ただの水ぶくれ」のような現象なので、筋肉の発達とは違います。

超回復のピークで筋トレをする

筋肉の発達には休息が必要だといいましたが、もちろん休めば休むほど良いというわけではありません。

筋肉は超回復した後は徐々にサイズ、筋力ともに低下していきます。

そのため、超回復がピークに達した時点で次の筋トレメニューを行わなければ効率の良い発達は期待できません。速く成長するためには休息を取り過ぎても駄目です。

超回復の原理からいって、筋トレなどの運動は継続しないと筋肉に効果が出ないということもいえます。

疲労がとれたと感じたら次の筋トレを行いましょう。これの繰り返しによって効率よく筋肉は発達していきます。

超回復は筋トレと休養の繰り返しによって筋肉を成長させます。

筋肉の回復時間の違い

休息の取り方で注意しなければならないのが、筋肉の回復時間の違いです。

基本的に大きい筋肉ほど回復に時間がかかり、小さい筋肉ほど回復が速いです。下の表を参考にしてください。

筋肉別回復時間
回復時間 筋肉部位
96時間 (4日間) 脊柱起立筋、大腿
72時間 (3日間) 大胸筋、広背筋
48時間 (2日間) 三角筋、僧帽筋、上腕三頭筋、上腕二頭筋
24時間 (1日間) 前腕、腹筋、カーフ

あくまで上の表は目安で、筋肉の発達具合やトレーニングレベル、個人差、体調によっても変わります。必ずしもこの通りの時間で回復するわけではありません。どれくらいの相対的な差があるのかということを覚えておきましょう。

回復時間は筋トレの効果の目安になることもある

きちんと負荷をかけてターゲットを追い込むという「効果的な筋トレ」が出来ていれば、たとえば大胸筋などの大きめの筋肉の場合、まだ筋肉量や筋力がない初心者の方でも、少なくとも48時間はかかると思います。なので、筋肉痛などが残り、1日以上休みをとってからまた大胸筋の筋トレをすることになると思います。

逆にいえば、全く休息要らずで、大きな筋肉でも毎日鍛えられるという状態が長く続く場合、負荷や筋トレのボリュームが足りてない、ターゲットに効かせるフォームで出来ていないなどの可能性があります。もちろん筋肉痛などが長く続いたから必ずしも効果のある筋トレが出来ているという保障がある訳ではありませんし、逆にオーバーワークの可能性があったりもしますが。

しかし、翌日の筋肉痛は、前日の筋トレで代謝物質を筋肉中の血液に留めて、成長ホルモンなどの分泌を促進させたかの目安になるともいえるので、回復にかかる時間は筋トレの効果の目安としてある程度、参考になります。

分割法で筋肉による回復時間の違いに対応する

さきほど説明したように、筋肉によって回復時間が異なるため、鍛えるべき頻度も筋肉ごとに変わります。

初心者のうちはあまり気にする必要はありませんが、将来的にこれを考慮する必要がでてきます。

また、1日に全身をまともに鍛えるのはかなりきついものがあり、途中から集中力が散漫になります。

主要な種目ほど、補助にターゲット以外の筋肉も使うので、補助に使う筋肉が先に疲労していると、自身の本来の筋力や種目に合わせた適切な重量でのトレーニングができません。これでは筋トレの効果がえられにくくなります。

このような疲労の問題を解決し、筋肉別の回復時間の違いにもある程度対応できるのが分割法です。

分割法とは、全身の筋肉を分割してメニュー(1日ごとのトレーニング内容)やプログラム(全メニューのまとめ)を組む方法です。簡単なものでは、上半身と下半身にわける2分割があります。

分割することによって、1日におこなう筋トレのメニューのボリュームを分散し、それぞれしっかり鍛えることができます。

いずれは筋肉が発達して回復時間の差が大きく開いていくため、3分割、5分割と細かい部位の回復速度にも合わせて細かく分割する必要が出てきます。

分割法のメリット:1.筋肉による回復速度の違いに対応できる。2.1回の筋トレのボリュームを減らす、筋肉ごとにしっかり鍛えられる。

効率的な分割法の使い方

分割法のコツは、大きい筋肉を中心に分けることです。

これは、大きな筋肉ほど、回復に時間がかかるということと、大きな筋肉ほど、成長ホルモンが多く分泌され、全身の筋肉の発達などのあらゆる筋トレの効果が大きいということを考慮する必要があるためです。

例えば、「胸→背中→脚→胸・・・」と繰り返す3分割のプログラムなら、トレーニングのボリュームが分散され、毎日元気な状態で、大きな筋肉を鍛えられ、結果、成長ホルモンを毎日多く分泌できます。

また、胸、背中、脚の筋肉をそれぞれ3日に1回の頻度で鍛えていることになり(2日ずつ休み)、初心者には理想的な頻度だと思います。

このプログラムの場合、胸の種目では肩や上腕三頭筋がついでに鍛えられ、背中の種目では上腕二頭筋もついでに鍛えられるものが多いので、肩や腕の種目もメニューに組み込みたい部分は、大きい筋肉の種目に合わせて組み込みます。

つまり、

  1. 胸・肩・上腕三頭筋
  2. 背中・上腕二頭筋

というプログラムになります。

分割したメニューごとに「疲労→回復」の波を表現したグラフ。テキスト「分割すると別の筋肉を休めている間に、別の筋肉を鍛えられます。」

また、筋肉が発達し、トレーニングレベルが上がり、これまでより回復に時間が必要になってきたら、ABCの間に一日ずつ休日を挟むなどして休息を増やします。メニューはそのままでも良いのですが、腕や肩の頻度が下がり過ぎてしまうかもしれません。

頻度の低下を防ぐためには、今まで「A.胸の日」にやっていた、肩、上腕三頭筋の種目を「B.背中の日」に回し、上腕二頭筋の種目は「A.胸の日」に回します。

胸の基本種目では肩、三頭も鍛えられ、背中の基本種目では二頭も鍛えられるので、プログラムを一周するうちに、肩、三頭、二頭はそれぞれ二回ずつ鍛えられることになります。胸や背中などを一回ずつのままなので、それぞれの筋肉の回復時間の違いにもある程度対応できたことになります。

この例は3分割をそのまま続けた場合ですが、更に細かい部位の日を作って分割することによって対応してもOKです。

このページのまとめ

  • 超回復で筋肉を成長させるためには、適切な筋トレと栄養と休息が必要。
  • 筋肉は超回復したあと、徐々に衰えていくので、休息はとりすぎず、回復のピークのタイミングでまた同じ部位を鍛えるのが理想。
  • 筋肉は大きい筋肉ほど回復が遅く、小さい筋肉ほど速いということや大きい筋肉ほど筋トレのあらゆる効果が大きいということを考慮して、トレーニングプログラムを組む。
  • 筋肉による回復の差や体力を考慮すると、分割法を取り入れることが効果的な筋トレをするために有効である。