バーベルベントオーバーローイング

バーベルベントオーバーローイングとは、中腰でやや前傾した状態でバーベルを引き、広背筋や大円筋などの背中の筋肉を鍛える筋トレです。

バーベルベントオーバーローイングで鍛えられる筋肉

  1. 広背筋
  2. 大円筋
  3. 僧帽筋
  4. 三角筋後部
  5. 上腕筋

バーベルベントオーバーローイングのやり方

  1. バーベルを肩幅より少し広めの手幅で持ち、上体を起こしてスタートポジションまで引き上げる。
  2. 背中が丸まらないように胸を張り、膝を軽く曲げ、前傾した姿勢をとる。
  3. 肩関節を中心に弧を描くように肘を上後方に引き、バーベルシャフトを下腹部に引き付ける。
  4. 同じ軌道でゆっくり元に戻す。

※3~4繰り返し。

バーベルベントオーバーローイングのスタートポジション バーベルベントオーバーローイングのトップポジション

バーベルベントオーバーローイングのポイント

  • 常に広背筋、大円筋を意識し、降ろす時に脱力しない。
  • 肘が弧を描くように意識して、手を引くのではなく肘を引くという意識で行う。
  • 肩甲骨は常に寄せた状態で動作する。
  • 手幅や上体の角度を変えて刺激を変えてみる。
  • 膝を伸ばした状態で行ったり背中を丸めると腰を痛めやすいので注意する。
  • 背中が丸まらないように下ではなく前を見る。
  • 扱える負荷が上がってきたら、リストストラップとベルトを使う。

バーベルベントオーバーローイングは背中の厚みを作る!

バーベルベントオーバーローイングは、広背筋、大円筋などを中心に上背部、中背部など広い範囲で背中を鍛えることができますが、
特に、背中の厚みをつくるのに効果的とされています。

広背筋、大円筋、棘下筋の位置

ベントオーバーローイングは地味な動きで、筋トレを始めたばかりの人にはスルーされやすい種目でもあります。
しかし、背中の筋トレの中ではデッドリフトと並び、基本であり、重要な種目です。

大胸筋の筋トレといえば、ベンチプレスですが、大胸筋の拮抗筋となるのは広背筋です。

つまり、BIG3(※後述)にこそ数えられないものの、重要度でいえば、このバーベルベントオーバーローイングはベンチプレスと同等と考えて良いでしょう。

胸の筋トレの王様ベンチプレスと同じくらい重要なバーベルベントオーバーローイング?(ベンチプレスとベントオーバーローの画像)

背中の筋トレメニューにはなるべくベントオーバーローイング、あるいはこの種目に近いマシントレーニングを取り入れるようにしましょう。 自宅ならばダンベルで行なうベントオーバーローイングやワンハンドローイングなどでもかまいません。

ベントオーバーローイングの重要度はBIG3に匹敵する?

BIG3とはベンチプレス、デッドリフト、スクワットの主要な高重量で行なうバーベルの筋トレ種目のことです。

ベントオーバーローイングは影のBIG3?

もし、この3つにもう1つ加えるなら?という問いに対して、筆頭候補に上がるのがこのベントオーバーローイングです。あるいは同じく広背筋や大円筋を鍛えるチンニング(懸垂)ですが、バーベルに限れば、やはりこの種目です。

また、スクワットとデッドリフトは鍛えられる筋肉や効果がかなり近いため、この2つを1つにまとめて、ベントオーバーローイングをBIG3に入れるべきだという感じの意見もあります。

デッドリフトのフォームをマスターしておこう!

バーベルベントオーバーローイングでスタートポジションまで引き上げる動作は、デッドリフトの動作で行うのが腰を痛める危険が少なく安全です。高重量を使う場合は特に、バーベルデッドリフトのフォームを意識して引き上げましょう。

バーベルベントオーバーローイングで高重量を床から引いてスタートする時のフォーム:1.腰は丸めないように。2.かつ、膝がつま先より出過ぎないように。(尻を少し後ろに引くと両立しやすい。)3.バーがすねにそうように、体から離しすぎない。(体から離れると腰を痛めやすい。)

パワーラックやスクワットラックなどがあるとプレートの着脱だったり、床から引かなくて良かったりでベントオーバーローイングでも地味に便利です。

バーベルを引く時に少し前傾しよう!

バーベルを引く時、元の体勢から、更にもう少し前傾することで、無駄に反動を使って負荷が分散してしまうのを防ぐことができます。

正確(?)にいうと「引く時に上体を起こしてしまいやすいので、少し前傾するつもりで引くと、結果的にあまり上体が動かない。」という感じでしょうか。

バーベルベントオーバー:スタートポジションからさらに少し前傾を意識してトップポジションへバーベルを引き上げる。

また、少し前傾を意識することで、胸を張って肩甲骨を寄せた状態になりやすいので、腰を丸めにくく、かつ肩甲骨の間の筋肉も収縮できるという効果もあります。

もちろん、あえて反動を使って高重量でガンガン背中の筋肉にヒットさせるというのもアリですが、この種目の性質上、慣れないうちからやると腰を痛めるリスクがかなり高いので注意してください。

上体の角度やバーベルを引き付ける位置を変えて複雑な背筋全体に刺激を届かせる

引き付ける位置や、上体の倒し具合によって扱える負荷や、効き方が変わってきます。

いろいろなフォームのバーベルベントオーバーローイングで複雑な背中の筋肉を多角的に鍛える。

水平に近い角度では稼働域が広く、大円筋や三角筋後部など肩周りの参加率が上がり、腰も疲労しやすいので使用重量は下がります。バーベルを引き付ける位置が下腹部ではなく、胸の方になるとよりこの傾向が強くなります。

上体の倒し過ぎもよくありませんが、初心者は少し深めに前傾した状態で行った方が、弧を描く肘の動きを理解しやすいと思います。

逆に上体を起こし過ぎると、稼働域が狭くなったり、背中ではなく僧帽筋上部を鍛えるシュラッグのようになってしまいます。僧帽筋もバーベルベントオーバーローイングのターゲットの1つではありますが、上部よりも、背中の筋肉と連動する中部狙いになります。上体の起こし過ぎ、下げ過ぎに注意し、様々な角度でバランスよく行いましょう。

手幅、グリップも色々試してみよう!

ベントオーバーローイングには、手幅や、グリップでも刺激が変わる奥深い種目です。上で紹介したドリアンローイングもそのバリエーションの一つです。様々なフォームを試して、自分に最適なフォームを探ったり、刺激を変えて楽しみましょう。

ドリアンロー

ドリアンローは、ミスターオリンピア(プロボディビルコンテンストの最高峰)で6連覇を果たした選手「ドリアン・イエーツ氏」が好んでよく行っていた事からこう呼ばれています。

ドリアンローは、逆手で、やや上体を起こし気味で行ったベントオーバーローイングです。ドリアン・イエーツ氏いわく「通常のベントローよりも上腕二頭筋を使い、高重量で背中を鍛えられ、完璧なフォームであればトレーニング強度が高まる。」とのことです。

ドリアンローイングのスタートポジション ドリアンローイングのトップポジション

すみません、ちゃんと逆手でやっているんですが、写真だと普通のバーベルベントローとの違いがほとんどわかりませんね・・・少し上体起こし気味かな?というのは伝わると思うのですが。個人的には、僧帽筋の中部~下部あたりにある筋肉が、通常のフォームより強く収縮されてるような感覚があります。

ベントオーバーローイングのローイングってなに?

これまで散々、「バーベルを引く」と説明してきましたが、ローイングというのは「漕ぐ」という意味です。バーベルを漕ぐという表現になじみのある方はあまりいないと思うので、引くという表現を使いました。

ちなみにベントオーバー(bent over)は「身を屈める」とか、「腰を曲げる」という意味なので、ベントオーバーローイング(bent over rowing)は直訳すると、「身を屈めて漕ぐ」といったところでしょうか。

同じ広背筋の筋トレでもチンニング(懸垂)などのプル(引く)系は背中の広がり、ローイング系は背中の厚みを作ると言われています。

えらそうにバーベルベントオーバーローイングについて説明してきましたが、私自身は背筋の筋トレといえば自重の懸垂をやる程度でまるでペラッペラの背中なので、ノウハウばかり蓄積してないので「漕がなきゃなぁ~」と思っている今日この頃です^^;