筋トレと減量の誤解
このページでは「筋トレすると体重が増えるから不利。筋トレを行うと筋肉がついて体重が落ちにくいから減量で不利。」という良くある誤解について、扱っていきたいと思います。
筋トレの減量方法については筋トレと食事メニューを参考にしてください。
筋トレで筋肉により体重が増える?
私も筋トレを始める前、体のメカニズムを全く知らず間違った常識を信じていたので、同じように思っていました。
しかし、まず体重が落ちない以前に、筋肉分の体重を増やすには、筋トレを行うだけでなく、摂取カロリーを現状より増やす必要があります。
なぜか、ウェイトトレーニングなどの筋力トレーニングを始めた時点で、体重が増えて筋肉がつくというイメージが蔓延していますが、むしろ逆で、摂取カロリーが同じままなら、筋トレ分の消費カロリーが増えてむしろ体重が落ちやすくなっていきます。
ですから、体重が落ちないどころか、食事に変化がなければむしろ筋トレで体重は落ちる傾向になります。
カロリーオーバーさせることにより初めて体重が増えていきます。もちろん、その増える分をなるべく筋肉にするには栄養バランスや食事の摂り方にも気をつける必要があります。
筋トレで筋肉をつけても減量に有利
筋肉がつくと減量に不利というのも間違いです。
筋肉云々の前に体重が増えたら減量に不利なのは当たり前ですし、筋トレと体重の増加についての誤解は先ほど説明しましたから、残るは「体脂肪と比べて筋肉の方が落ちにくい」という誤解です。
これはおそらく、体脂肪がすぐに落ちそうなイメージで、逆に筋肉がなかなか落ちなさそうなイメージによるものだと思いますが、本当にただのイメージで現実では違います。
体脂肪は水分が20%と非常に少なく、ほんとに脂のかたまりでカロリーも相当なものです。しかも減量中のカロリー不足の状態では脂肪を溜め込もうとする傾向にあるのでなかなか落ちません。そして、体脂肪をためると更なる体脂肪を呼びこむホルモンを分泌するという悪循環に陥ります。
筋肉は基礎代謝はもちろん活動による代謝も上がりますから、全体の消費カロリーがかなりアップするので、体重は落としやすいです。
代謝が上がった分、減量で食事量を落としていった時に、筋肉が多いと自分で自分の体を食い潰していくようなかたちになり、非常にスムーズに体重が落ちていきます。
筋トレで計量と試合を有利に運ぼう
もう1つ有利な面があります。
計量直前ではかなり食事を少なくしている人が多いと思いますが、この時落ちているのは主に水分です。
意識的に水分を絶っている人にしか、水抜きをしている自覚がないかもしれませんが、よっぽど水を飲まない限り大幅に食事量を減らせば水分も落ちますし、塩分も減るので水を飲んでも水が体に留まらない状態となり、結果的に水抜きになります。
さきほども説明したように脂肪は水分が少ないですが、筋肉は水分を多く含んでいます。
なので、筋肉が多い人は水分をたっぷり含んでおり、通常の減量が代謝向上で有利なだけでなく、計量直前の水抜きも有利です。同量の水抜きなら筋肉が多い人は割合が少なくなる分コンディションもあまり低下しません。
そして、水抜きをした筋肉はスポンジのようになってますから、当然落とした分の水分を再吸収するのもあっという間なので、試合の時は筋量、体重で相手を大きく上回り、試合を有利に進めることができます。
ただ、塩分が少ないままだと、あまり水分を体に吸収できないですし、筋肉が攣ってしまう原因になるので、計量後の食事である程度とるとは思いますが、浸透圧が調整されており体に吸収されやすいスポーツドリンクなどを飲むのが良いでしょう。飲みすぎるとお腹が緩くなるので注意してください。
また長期間の水抜きもコンディションを悪くし、筋肉の分解、脂肪の蓄積を促進するのでやめましょう。
体重のコントロールと競技練習を忘れずに
誤解して欲しくないのは、階級性の競技者の場合、筋肉ならいくら増やしてもいいというわけではないということです。筋肉以前に体重が増えすぎれば減量に不利になるのは当たり前です。
体重が増えすぎないようにするためにも、筋トレを取り入れることは有効です。
かといって、競技者の方は筋トレばかりに夢中になるのは良くないと思います。
近い体重、技量であれば筋肉が多い方がスピード、パワーで勝り、実力が上になる傾向にあります。筋肉が体を動かしてるわけですから、"筋肉以外の条件が同程度"なら圧倒的に有利で、しっかりとした競技練習と並行すれば実力を大きく伸ばすことができると思います。
しかし、それでも競技練習がおろそかではその筋肉を使いこなせず、逆に筋トレでついた癖により、スピードが鈍く、疲れやすくなり、よく言われる「使えない筋肉」になってしまいます。
実際には筋肉そのものの質が悪い訳ではないので、「使えない筋肉」という表現はおかしいですが、筋肉を競技に合うように操作する神経が未発達なので、その神経を競技に合うように鍛える必要があります。そのためには、やはり、しっかり競技練習をすること、そして試合近くでは、筋肉量を増やすトレーニングから、スピードやパワーを発揮するためのトレーニング(プライオメトリクスなど)に切り替えることです。