バーベルスクワット

バーベルスクワットとは、バーベルを肩に担いでしゃがむことによって、太ももにある筋肉(大腿四頭筋、ハムストリング)やお尻の筋肉(大臀筋)を鍛える筋トレです。

バーベルスクワットで鍛えられる筋肉

  • 大腿四頭筋
  • ハムストリング
  • 大臀筋
  • 脊柱起立筋

高重量でトレーニングができるため、下半身だけでなく上半身の筋肉の発達や脂肪燃焼の効果も高くなります。

バーベルスクワットのやり方

  1. バーベルを両肩(僧帽筋)に担ぎ、肩幅くらいのスタンスで立つ。
  2. 股関節、膝関節をゆっくり曲げて、太ももが水平になるくらいまでしゃがむ。
  3. 立ちあがって元の体勢に戻る。

※2~3繰り返し。

バーベルスクワットのスタートポジション バーベルスクワットのボトムポジション

バーベルスクワットのポイント

  • 膝がつま先より前に出過ぎないように注意する。
  • しゃがむ時にお尻を後ろに逃がすようにすると膝が前に出にくい。
  • 背中を丸める(猫背になる)と腰を痛め易いので、常に胸を張り、腹筋に力を入れて上半身を支える。
  • ターゲットの筋肉に負荷を集中させるように意識する

バーベルスクワットは全身の筋肉の発達に効果がある

スクワットは下半身を総合的に鍛えることができますが、下背部の大きな筋肉にもかなり負荷がかかります。

このように多くの大筋群に大きな負荷をかけることができるので、成長ホルモンの分泌などもバーベルを使った筋トレの中では最高レベルとされ、
バーベルスクワットには全身の筋肉の発達や脂肪燃焼を促進する効果があります。

なので、「下半身の筋肉にとくにこだわりがなく、上半身の筋肉をつけたいだけ。引き締まった筋肉質な体にしたい。」という人にも、 バーベルスクワットはおすすめです。

バーベルスクワットの効果は上半身にも影響する!!

バーベルで行うスクワットは、ダンベルに比べるとスムーズにこなしやすいのですが、もちろんバーベルが不可能な場合はダンベルでもかまいません。

ダンベルでスクワットをスムーズにやるための準備としては、

  • リストストラップで握力を補助する。
  • ダンベルは、小さいプレートを内側に、大きいプレートを外側につけることで脚に当たりにくくする。

の2点です。

ダンベルスクワット仕様のプレートの付け方

あと、プレートの高さが邪魔で深くしゃがめない場合は、足幅くらいの踏み台があるといいかもしれませんね。

スクワットの基本フォームで重要な膝の位置

膝を出すフォームでスクワットを行うと膝を痛める可能性があります。基本的には膝はつま先より出ないようにします。

お尻を後ろに逃がすようにすると膝を前に出さずにしゃがむことができます。うしろにあるイスに座るような感覚ですね。しかし、この時に背中を丸めて猫背にならないように注意しましょう。背中を丸めてしまうと腰を痛める可能性があります。

バーベルスクワットのフォームの膝とつま先の位置(横から見た図)

大腿四頭筋に負荷を集中させたい時は、あえて膝を出すフォームでやる方法もありますが、無理な重量で行わないように注意しましょう。

後ろのイスに座る感覚という説明をしましたが、実際に後ろにイスを置いて行なうボックススクワットというものもあります。

バーベルを担ぐ位置によるスクワットの負荷のかかり方の違い

スクワットのフォームはバーベルを担ぐ位置に影響されます。

高い位置(ハイバー)にバーベルを担ぐと膝が出やすいので大腿四頭筋(太ももの表側の筋肉)に負荷がかかりやすく、
低い位置(ローバー)にバーベルを担ぐと膝が出にくいので大臀筋(お尻の筋肉)やハムストリング(太ももの裏側の筋肉)に負荷がかかりやすくなります。

僧帽筋とハイバー、ローバーの位置

ハイバーは僧帽筋の上部に乗せて、ローバーは僧帽筋と肩の後部で支える感じです。

ローバーは慣れたり正しい位置をつかむまで、乗せたところが少し痛かったり、肩が硬いと関節が痛かったり、息苦しかったりもします。スクワット用のパッドで乗せたところの痛みは軽減できます。

基本的には、膝を出さずにやや前傾するフォームになりますので、ローバーで担ぎます。というのも、ハイバーで膝を出さないように屈むと、腰とバーベルに距離ができ、腰への負担が強くなってしまうからです。

ハイバーとローバーでスクワットをやった時の、腰とバーベルの距離をあらわした図

グッドモーニングにならないように注意!膝と腰の関節を同時に伸ばそう

慣れない高重量でスクワットを実践する時に、たまにやってしまうのが、膝関節と股関節の伸展が同時ではなく、「膝関節の伸展→股関節の伸展」という2段階に分けた動作です。

この表現ではちょっとわかりにくいかもしれませんが、①「ラジオ体操の屈伸」のような動きでお尻を持ち上げてから、②グッドモーニングの動作で上体を起こしてしまう、ということです。(①を極端にあらわすと下のイラスト図のようになります)

腰を上げてからグッドモーニングに入る、スクワットの効果がえられず、腰が危険なフォーム

大きな負荷は扱い易いかもしれませんが、①の動作では、膝関節の伸展の時にバーベルが持ち上げられておらず、「バーベルを保持する負荷のみ」となります。②のグッドモーニングで、お尻や太ももの裏は鍛えられますが、太ももの表側の筋肉(大腿四頭筋など)には効果がありません。

バーベルの移動がない①の動作の間はあまり筋力を使わずに済むので、脚が疲れてくるとやってしまうこともありますが、「膝を伸ばして上体が前傾した姿勢」でスクワット用の高重量なバーベルを担いでいる状況は、非常に腰の怪我の危険性が高いので注意してください。

パラレルスクワットってなに?ハーフスクワットとかクォータースクワットってどれくらいしゃがむの?

スクワットは、しゃがむ深さによって効果が違ってきます。最初に「しゃがむ深さごと」のスクワットの呼び方を確認しましょう。

まずは「膝の曲がり具合の角度」を基準とします。直立した状態では膝関節は180度に開いており、このうち1/4(クォーター)の45度までしゃがむとクォータースクワット、半分の90度でハーフスクワットになります。

そして、床と太ももがちょうど平行(パラレル)になるまでしゃがむとパラレルスクワット、それより深くしゃがむとフルスクワット、完全にしゃがみ込むとフルボトムスクワットです。

スクワットの深さとよびかたのイラスト図:直立(180°),クォーター1/4(45°),ハーフ1/2(90°),パラレル(床と太ももが平行),フル(パラレルとフルボトムの間の範囲),フルボトム(完全にしゃがみ込む)

パラレルスクワットはハーフスクワットと混同されやすいですが、屈むごとに基準となる線も、(床に対して垂直なままでなく)角度が変わっていることに注目すると間違えにくいです。

フルボトムでは太ももとふくらはぎがくっつく感じですね。上のイラスト図は線で表現しているのでくっついてませんし、脚の太さにもよるかもしれませんが。

しゃがむ深さによるスクワットの効果の違い

しゃがむ深さと効果の関係は、他の要素にも影響を受けますが、ここでは基本的なフォームの「膝をつま先より出さず、ローバーで担ぐバーベルスクワット」を基準とします。

クォーター、ハーフなどの浅いスクワットは腰や尻、ハムストリングに効き、大腿四頭筋への負荷は弱くなります。また、かなりの高重量が扱えます。

パラレルより深くしゃがむと使用重量はかなり下がりますが、大腿四頭筋など太ももの表側、膝周りの筋肉への負荷が強くなります。

スクワットはどれくらいしゃがむべき?

腰やハムストリングはデッドリフトやベントオーバーローイングなど背中の筋トレでも結構使いますし、バーベル種目で大腿四頭筋に高負荷をかけられるのはスクワットだけなので、膝を痛めているなどの特別な理由がなければ、なるべくパラレルスクワット以上に深くしゃがんだ方が良いです。フルボトムまで屈むと、ふくらはぎやスネなどの下腿の筋肉にもかなり効きます。

私自身は競技や趣味などで、脚は持久力を使って疲れていることが多かったり、脚がきつい筋肉痛になってしまうと困るのであまり本格的には出来ておらず、こんなこと言うのもなんですが、筋トレで一番効果の高い種目はフルボトムスクワットだと思うので、なるべくやった方が良いと思います。

足幅によるスクワットの効果の違い

スクワットの足幅:肩幅より広い→ワイドスタンス、肩幅より狭い→ナロースタンス

ワイドスタンスでのスクワットは、ハムストリングやお尻など脚の裏側、ナロースタンスは、大腿四頭筋などの表側の筋肉に効きます。

効果という面では、しっかり深くしゃがんでいれば、どちらも効果的な筋トレになると思いますが、ワイドスタンスはデッドリフトと鍛えられる筋肉がかぶりますし、大腿四頭筋もしっかり鍛えるためには、肩幅くらいのノーマルな足幅でバランスよく鍛えるのが基本になると思います。

もちろん、股関節の柔軟を強化するなど、特別な目的があればワイドスタンスでもかまいません。

「ナロースタンスで深くしゃがむのが難しいが、かかとを浮かせると出来る」という場合は、足首の関節が硬い可能性があります。こういった場合は、かかとの下に適度な厚みの板やプレートなどを置くとスムーズにできます。

つま先の向きによるスクワットの効果の違い

スクワットはつま先の開く角度によっても負荷のかかる筋肉が変わってきます。

つま先を開くと太ももの内側の筋肉(内転筋)に効き、閉じると太ももの外側の筋肉に効きます。

スクワットをする時のつま先の向きによる、効果のある筋肉の違い:がに股→太ももの内側、内股→太ももの外側

ただし、内股のスクワットは、無意識にやると膝がつま先よりも前に出てしまいやすく、外側の筋肉よりも膝上に負荷が集中し過ぎて膝を痛めたり、深くしゃがめなかったりするので注意してください。基本としてはわずかに開くくらいがベストじゃないでしょうか。

ワイドスタンスでがに股のスクワットをスモウ(スタンス)スクワットともいいますが、股関節の柔軟性強化にとても効果があります。

しゃがむときに、つま先の向きと膝の向きがずれると、足首、膝、股関節など全体的に痛める可能性があるので注意してください。