筋トレの効果を上げる6つのコツ
筋肉の発達を停滞させず筋トレの効果を上げる基本的な6つのコツを紹介しています。
1. 鍛える筋肉を意識する
筋肉を発達させ、脂肪を燃やしたり美容効果のある成長ホルモンを分泌させるためには、ただ十分な負荷を扱うだけでなく、筋肉に効かせるのがコツです。
鍛える部位の筋肉をしっかり意識して常に力の入った状態にすることにより、血流を制限し代謝物質を溜め、成長ホルモンを分泌させることができます。
慣れてくると十分な負荷を使うだけで効くようになりますが、最初のうちは効かせるということを意識して行わないと難しいと思います。
また、同じ負荷を扱っていても、負荷が集中した場合と分散した場合とでは効果が全く違います。鍛える部位に十分な負荷を集中させて追い込み、筋発達に重要な筋繊維(Ⅱb繊維)を動員するためにも、しっかり鍛える部位に意識を集中させましょう。そのためにはそれぞれの種目の正しいフォームを身に付けることが重要です。
筋トレを始めたばかりのうちは、高負荷で行うと余裕がなく、正しいフォームを身に付けたり、鍛える部位を意識して負荷を集中させるということが難しくなります。
なので、初心者の方や、新しい種目に挑戦する時は、しばらく目安よりやや軽めの負荷で慣れるの良いでしょう。筋肉の発達には8~12回で限界になる負荷が良いとされていますが、最初は12~15回くらいが良いかもしれません。
2. ストリクトとフルレンジを意識する
ストリクトとは反動を使わずに丁寧に行うというような意味です。多少反動を使った方が効かせやすい種目もありますが、負荷をターゲットの筋肉に集中させるためには、反動はあまり使わないのが基本であり、筋トレの効果を上げるコツでもあります。
また、降ろす時に脱力して、一気にストンと降ろしてしまうと筋肉中に代謝物質を留めることができず、筋トレの効果が期待できなくなってしまいます。降ろす時は少しゆっくり目に、鍛えている筋肉に負荷を感じながら丁寧に降ろしましょう。
レンジというのは稼働域のことで、フルレンジとは全稼働域という意味です。筋肉を満遍なく鍛えるにはフルレンジで行うことが重要です。筋肉は負荷をかけた状態で収縮伸展することにより大きく発達します。
あくまで有効な範囲での全稼働域という意味で、関節に負担をかけたり、負荷が抜けたりするところまで無理に伸縮させる必要はありません。
ストレッチ種目とコントラクト種目とミッドレンジ種目
フルレンジ(全動域)の中でも種目によって重要な部分が違います。ターゲットの筋肉がストレッチ(伸展)された時に強く負荷のかかるタイプの種目をストレッチ種目といいます。上の写真のベンチプレスなどがストレッチ種目に該当します。また、収縮時に負荷が強くかかる種目をコントラクト種目(サイドレイズなど)、中間地点で強く負荷のかかる種目をミッドレンジ種目(ダンベルカールなど)といいます。筋トレを行う時は、どれに分類されるのか負荷のかかり方を意識して、種目の効果を逃さないように行いましょう。
例えば、ストレッチ種目であるベンチプレスの時に、上半分程度の稼動域でほとんどストレッチがかからないような状態で行った場合、負荷がまともにかからないのでターゲットの筋肉が鍛えられる効果もほとんど失われてしまいます。そのため、ベンチプレスでは床に直接寝るのではなく、ベンチを使ってしっかり稼動域を確保して行います。
3. ウエイトをゆっくり降ろすことの重要性
筋トレの動作には、ポジティブとネガティブが存在し、負荷のかかる方向に逆らって動かす時をポジティブ、負荷のかかる方向に動かす時をネガティブといいます。
ダンベルやバーベルを使った筋トレでいえば、ウエイトを持ち上げる時がポジティブ、降ろす時がネガティブであり、自重トレーニングでいえば、自分の体を持ち上げる時がポジティブ、降ろす時がネガティブです。
「ウエイトをゆっくり降ろすこと」が筋トレの効果を出すコツの1つであるということは、「ストリクトとフルレンジ」の項目だけでも理解されたかと思いますが、他にもゆっくり降ろす理由があります。
ポジティブの時の筋肉の動きを短縮性収縮(コンセントリック収縮)、ネガティブの時の筋肉の動きを伸張性収縮(エキセントリック収縮)といいますが、短縮性収縮よりも、伸張性収縮の時の方が、筋肉量(代謝量)の増加や美容効果、メリハリのある引き締まったシルエット作りなどに有効な速筋がより多く使われるため、ゆっくり降ろすことの重要性が更に増すというわけです。
4. 3パターンの呼吸方法を使い分ける
十分な負荷を扱う筋トレは無酸素運動です。しかし、無酸素運動といっても筋肉を動かすエネルギー源として酸素を活用しないだけなので、無呼吸では苦しくてまともに続けられません。
人は息をとめた時が最も力を発揮できるので十分な負荷でトレーニングをすると、ついつい無意識に息をとめて、筋肉を追い込む前に苦しくなり、途中でストップしてしまいがちです。メインセットでは限界回数まできちんと行わないと、筋トレの効果が得られないので、これでは非効率です。
こうならない為の呼吸方法が3パターンあります。
1. 呼吸による肺の膨らみに動作を合わせる
吸った時には肺が膨らみ、吐く時には縮むので、肘や膝の関節を曲げる時に吸い、伸ばす時に吐くようにすると、ほとんどの種目では呼吸による胸の張りと筋トレの動作が合うと思います。そうすることによって、呼吸も動作もスムーズに行えます。肘や膝の関節を使わない種目に関しても、呼吸がしやすく感じる方法で行ってください。
2. 筋力の性質に呼吸を合わせる
もう1つは、「人間は息を止めた時の次に、息を吐く時に力が入る。」ということを利用し、ポジティブ動作時に息を吐き、ネガティブ動作時に息を吸うという方法です。プレス(押す)系の筋トレなら押す時、プル(引く)系の筋トレなら引く時がポジティブで、ネガティブはその逆です。
ネガティブはポジティブの約1.3倍の筋力を発揮できるので、余裕のあるネガティブ時に息を吸っておいて、ポジティブ時に息を吐きます。
3. スティッキングポイントまで呼吸を止める
最後はかなり大きな負荷を扱う時専用の呼吸方法です。
各種目にはスティッキングポイントという最も負荷が強くなるポイントが存在します。
そのスティッキングポイントを越えるまでは、吸った息を止めて腹圧を高め、越えてから吐き切り、すぐに大きく吸いながら降ろすようにすると、高重量をスムーズに扱えるだけでなく、スクワットやデッドリフトなどの種目で、腰を守るためにも有効です。
ただし、呼吸をとめるのは、高齢者の方や血管に不安のある方もいると思いますので、多くの人に勧められる方法ではありません。本格的に行いたい人だけ、一部の種目に活用してください。また、この方法は息を止める時間が長いため、無意識にやった時と同じように呼吸が苦しくなって止めてしまいやすいので、高負荷低回数向きの呼吸方法です。
5. 種目ごとに負荷を変える
筋トレの効果がもっとも出る負荷と回数とはで詳しく説明していますが、目的にあったベストな負荷は「最大筋力の〇%」「〇回できる負荷」というように、相対的なものなので、種目ごとにも設定する負荷は変わります。
例えば、同じ「10回が限界の負荷」でもダンベルベンチプレスとダンベルフライでは全く扱える負荷が違い、(フォームにもよりますが)ダンベルフライはダンベルベンチの半分くらいの重さになります。それぞれベストな重量にセッティングして行いましょう。
小さな筋肉やアイソレート種目はやや軽めの負荷で鍛える
また、絶対的な負荷だけでなく、相対的な負荷の目安も種目ごとに微妙に変えることが勧められます。
例えば、ベンチプレスを8回が限界の負荷で行っている場合、ダンベルフライは12回が限界の負荷にするといった感じです。このように、大きな筋肉の種目やコンパウンド(多関節)種目に対して、小さな筋肉の種目やアイソレート(単関節)種目は安定させにくいため、やや軽めの負荷にするのが一般的です。
稼動域が狭い種目もやや軽めの負荷に設定して回数を増やす
稼働域が狭い種目もアイソレート種目同様に負荷を少し軽くした方が良いです。種目によって稼働域が違うため、1回にかかる時間も違います。目的別の負荷の目安は、元々"秒数"を基準に導き出したものを、1回に平均約5秒かかると過程して回数に換算したものなので、極端に稼働域が狭い種目だと目安の回数に合わせてもズレてしまいます。
このズレを修正するために、稼働域が狭く1回にかかる秒数が短い種目では、負荷を軽くしてやや多目の回数に設定した方が良いといえます。
6. 負荷を停滞させず筋肉の成長を促す
ここまでは、「安定させにくい種目や効かせにくい種目、稼働域が狭い種目などは負荷を少し軽くする」ということ、また、「反動を使わずに丁寧にゆっくり行うこと」を勧めました。
しかし、筋肉を大きくすることを目的に筋トレをしている場合、これらにこだわり過ぎて、負荷を軽くし過ぎてしまったり、負荷を上げていかなかったりというのは筋肉の成長の停滞の1番の原因になるので気をつけましょう。
筋肉を発達させるには過負荷の原則に従い、限界値を上昇させていくことが必要です。丁寧に効かせる事に集中し過ぎて回数が伸び悩む場合は、思い切って負荷を上げてしまうのもありです。
安定させて効かせるのは特に初心者の場合大事なことですが、しばらく筋トレを継続したら、ストリクトにこだわり過ぎず、負荷を上げていくというのが停滞しない最大のコツだと思います。
負荷を上げて筋力アップ→筋量アップ
負荷を上げていくと時には反動を使い過ぎてしまったり、筋肥大ではなく筋力アップ、神経系強化を目的とした筋トレになってしまうこともあると思いますが、それによって筋力が上がれば徐々に安定した状態で回数がこなせるようになってきます。
たしかに、十分な回数がこなせる前に負荷をすぐに上げてしまえば、ずっと筋力アップ効果(神経系の強化)を狙った筋トレになってしまって筋発達が効率的に起きず、いずれ筋力アップも停滞してしまいます。
しかし、基本通りに行っていて回数が停滞してしまったら、負荷を上げ、しばらくその負荷で続けてみるのも良いでしょう。
最初は筋力アップ重視の筋トレになっても徐々に筋力がアップし、回数が伸び、自然に筋量(代謝量)アップやシェイプアップの効果を重視した筋トレに変わっていきます。
このページのまとめ
- 鍛える筋肉を意識して、負荷を常に集中させる。
- 無駄な反動は使わず、有効な稼働域をいっぱいに使って動作する。
- ウェイトを降ろす時(ネガティブ)は一気にストンと降ろさずゆっくり丁寧に降ろす。
- 筋トレは無酸素運動だが、呼吸は必要。自分の行いやすい呼吸法で行う。
- ストリクトに拘りすぎず、負荷は長期間停滞させないようにする。